日本人「ばーちゃん」の存在感!「トイレット」を見て

仮にですよ、あなたが70歳後半あるいは80歳超えたおばあちゃんだとして
一人娘に先立たれたとします。
その娘はアメリカ人と結婚し、3人の子持ちです。アメリカに発ったまま長年音沙汰なしの娘は病没してしまいます。実は孫たちが「ばーちゃん」と呼ぶ、このおばあちゃん、娘の葬儀を機に渡米し、娘の残した家に3人の孫、そして猫と住むことになるのです。
あなたならどうしますか?ちなみに長男は4年前のピアノコンクールのときに極度の緊張からパニック障害になってしまい、家に引きこもったままです。次男は研究所勤め。もっぱらこの長男が一家を仕切っているようです。長女は大学生。

もし私が「ばーちゃん」だったとしたら
きっと孫たちに迷惑かけないようになどと考えるのは必至。英会話も頑張って、なんとかうまくやって行こうと努力するっていうか、とても頑張ってしまうと思うのです。

ところが、です。
この「ばーちゃん」ひとっこともしゃべらない。
それに毎朝、トイレの時間が長くて、次男など出勤の前にいらいらするけれど、トイレから出てきた「ばーちゃん」がなぜか決まって深いため息をつくのをみて不審に思い続けます。これは映画の大事なポイントの一つ、としておきましょう。ネタバレになっちゃいますから。
ともかく言葉の問題もあり、孫たちとおばあちゃんの心は通わないようにみえたまま話は進むのです。

ある日、引きこもりの長男がママの遺品を整理していてミシンを見つけます。ほこりまみれだけど動くかもしれない。
もしかして「ばーちゃん」がミシンのこと詳しいかもしれない、と思った長男はおばあちゃんにダメ元で話しかけるのがきっかけで物語が進展していくのです。
どうやら英語はわからなくても「目をみて誠心誠意話せば」おばあちゃんは理解してくれるとわかりました。それどころか猫の餌を買いに勝手にでかけたりはするし、とにかく気持ち的に自立している。
時間の経過とともに孫たちはおばあちゃんはしゃべらないけど孫たちのことが無関心なのではないと分かるし、徐々に大きな存在になっていきます。

映画の中で黙ったままで重要な役を務めるっていうのはこの女優さん(もたいまさこ)、おそらく初めてでしょうが、この黙ったままの演技が素晴らしいのです。
クライマックスあたりで一言、二言叫ぶだけなのですが・・・
これ以上はネタバレになるので伏せておきます。

この映画、「トイレット」というタイトルからコミカルな内容を想像しましたが、実は品の良い、味わい深い家族ドラマでした。
血縁であってもなくても、また、人種の違いからくるささやかな偏見を超えて、家族や友人がお互い支え合うことの心強さを見たような気がしました。
それと私だけかもしれませんが「背伸びしないでいいんだよ」というメッセージも受け取りました。

孫たちがハーフでアメリカ人(?)なのですべて英語、字幕付きの日本映画という設定は珍しいと思います。映像は色合いがマットでレトロ、かつ欧州風というか趣があります。ピアノ曲のあしらい方もなかなか素敵です。
はっきり言ってこの映画大好きです。
監督さんはオギガミさんという女性でアメリカで映画を学ばれたとか。こういうセンスの人が出てくることで日本映画も変わっていくのでしょうね。あまり邦画を見てこなかったのですが今後は楽しみです。
by jmtravolta_johnta | 2013-04-14 18:07 | 映画。TV | Comments(0)

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by じょんたのおばあちゃん