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女が認知症になると...

このところ「老い」や「認知症」を立て続けに目にしている。避けては通れない現実だけにやりきれない気分でいる。

きっかけは「アイリス」というイギリス映画。映画だから非現実の世界なのだけれど
アイリス役を演じるジュディ・デンチという女優の演技が真に迫っていて、胸が塞がる思いをした。
彼女はあの007、ジェームズボンドの上司役などでおなじみだが、こちらのアイリスは戦中から戦後にかけて、自由奔放に生きた学生時代から晩年に至るまでを過去と現在を織り交ぜながら描いていく。
女子大時代に彼女の明るく可愛い人柄と固定観念にとらわれない奔放な生き方に惹かれた「晩生」の男性が彼女の心を射止め、二人は作家としての執筆活動を生業として名声も勝ち得る。彼女は老いてもペンを置かない日々を過ごしていて、ある日ふと言葉が見つからないことがあり、「正気を失っていくのは怖いわ」とつぶやく。
これがどんどん現実になっていくのだ。

ストーリーとしては一人の女性が認知症になり夫の介護も限界に達して施設に入り、そこで最期を迎えるというだけで、特に珍しい話ではないはずなのに息をこらすように最後までテレビの画面に見入ってしまった。

夫の身を挺した介護にも限度がある。ついに「数多いる男の中から僕は君を勝ち取ったのに、今では君はお荷物でしかない」と叫んでしまう場面は痛ましい。たとえ健常でいても夫も相当老いている、身の回りをあまり構わなくなって家の中が乱雑で汚れ放題になっていくのも見ていて辛かった。

他にもある。
「アイリス」はイギリス映画だけど、今朝の新聞ではフランス映画の新作「愛・アムール」というのを紹介していて、ジャン・ルイ・トランティニアン演じる夫が老いて認知症になった妻の介護をする映画、とある。
認知症の夫を老妻が介護する、というのはドラマチックじゃないのは分かる。ありふれていると言える。その逆に、とくに美貌で才気煥発であった女性が老いて認知症、というのはきっと「他人の蜜は甘い」から耳目を引くのだろう。
レーガン大統領のアルツハイマーは映画にならなかったがサッチャー首相は映画になったことも頷ける。

話がまたそれそうだ。非現実の映画の世界で身につまされるきっかけになったのに加え今日は愉快でないことに出くわした。

最寄の銀行へ所用で出かけたところロビーのホールに戻ると時々声を上げて叫んでいるの人がいた。
その老年の男性、カウンターにいるところを見ると来るべき用事があってきているのだろう。見るともなく見ているとズボンが汚れている。尻のあたりから裾に欠けて特にひどい。まさか、と思ったのは図星だった。その後わたしの番が来て、カウンターに行くと異臭がしていた。

人が壊れるということって、運、不運の問題かもしれない。
恐らくそうだろう。頭を使う仕事を続けると認知症にならない、なんてことはない。

老いは万人に平等にやってくるけれど壊れるか壊れないかは運です。
ぼける前にいつぼけてもいいようにすべきこと、やりたいこと等などを後回しにしないで片付けていきたいと思っています。
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by jmtravolta_johnta | 2013-03-08 16:33 | 映画。TV | Comments(0)

日々歳を重ねていくだけ、という普通のお婆さんの日記。


by じょんたのおばあちゃん
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